日本 の死者数は平年より 0.3% 高く、平年より 400 人が多く死亡した
日本では今年1月に初の新型コロナウイルス感染者を確認した。しかし、COVID-19による死者数は相対的に少ない。
4月半ばから全国的な緊急事態宣言が実施されたが、安倍晋三首相は5月25日にこれを解除した。国内で公式に確認された死者数は1000人に達していない。
隣国・韓国と異なり、日本は新型コロナウイルス検査の大量実施を優先していない。
それでも日本の超過死亡は少なく、新型ウイルスの被害が相対的に小さかったことを示している。
アメリカ の死者数は平年より 16% 高く、平年より 97300 人が多く死亡した
アメリカでは、新型コロナウイルスによる死者が最も多く確認されている。11万人以上がCOVID-19で死亡している。
ただし、アウトブレイクの様相は州ごとに大きく異なる。
ニューヨーク州の被害が最も甚大で、感染者数も死者数も、他の多くの国よりも多い。
感染者や死者の人数を問わず、全50州の医療体制や市民生活が打撃を受けている。
カリフォルニア州など一部の州が素早く行動制限を実施し感染を抑え込もうとしたのに対して、ワイオミング州など複数の州は厳しい行動制限に抵抗して実施していない。
州ごとの自宅待機命令は徐々に緩和されつつある。
イギリス の死者数は平年より 43% 高く、平年より 64500 人が多く死亡した
イギリスでは4月17日に終わった週が感染のピークだった。超過死者数は1万2800人超で、そのうち9495人の死亡診断書にCOVID-19と記載されていた。
長いことイギリスの感染ホットスポットだったロンドンでは、アウトブレイクが始まって以来、予想死者数の2倍近い死者が記録されている。
しかし、国内の全地域で超過死亡が出ている。パンデミック中に中西部や北西部の死者は平年の50%増だった。
国内の大半の地域が感染ピークを過ぎたものの、イングランド東部で超過死亡が最も増えたのは5月29日に終わる週だった。
韓国 の死者数は平年より 5% 高く、平年より 2400 人が多く死亡した
韓国は1月20日に最初の感染者を確認した。最初の死者が出たのは1カ月後だった。
徹底的な検査実施と接触者の追跡によって、死者総数を少なく抑え込むことに成功したとしばしば評価される。
南東部・大邱で、宗教団体「新天地」に関連するとされる大人数の集団感染が発生し、一時期は毎日数百人の新規感染が確認されていた。
しかし、4月15日の総選挙では2900万人が投票したものの、選挙に関連するとされる新規感染はゼロだった。
インドネシア の死者数は平年より 55% 高く、平年より 4700 人が多く死亡した
インドネシア全土に対する全ての死因の死者数データは得られないものの、首都ジャカルタでの埋葬の数は、パンデミックの影響の指標になる。
ジャカルタの平年3、4、5月に比べて今年の埋葬の数は4700件多かった。
埋葬の超過件数はCOVID-19による公式死者数の9倍に上る。
公式統計ではCOVID-19による死者はゼロとされるアンボン島でも、新型ウイルスによって生じた状況から3歳の息子が犠牲になったという家族がいる。
タイ の死者数は平年より 2% 高く、平年より 2400 人が多く死亡した
中国以外で初めて感染者を確認したものの、タイの公式統計によると死者数は意外なほど少ない。
感染者の確認が3月に急増したため、プラユット・チャンオチャ首相は国家非常事態を宣言した。しかし、死者数は最大で1日4人に留まった。
同様に、全ての死因の死者総数は3月には平年を上回ったものの、4月と5月には平年レベルに戻った。
スウェーデン の死者数は平年より 24% 高く、平年より 4200 人が多く死亡した
スウェーデンの感染ピークは4月12日に終わる週にやってきた。1週間の死者数として、過去20年間で最多を記録した。
隣国デンマークやノルウェーの死者総数が平年とほぼ同数だったのと対照的に、スウェーデンでは死者数が大幅に増えた。
スウェーデンはアウトブレイクを通じて全面的なロックダウンをせず、社会活動の大部分を継続した。その代わりに自発的な社会的距離の維持や、その他の限定的な対策を重視した。
スウェーデンのCOVID-19対応を主導した感染学者、アンデルス・テグネル博士は最近、厳しいロックダウンを強制しないという判断は、異論が多かっただけでなく、必要以上に多数の死につながったと認めた。
ただし、テグネル氏は「それでもこれがスウェーデンにとっては正しい戦略だと、基本的にはまだ考えている」と主張し、ウイルスとの戦いは「短距離走ではなくマラソンだ」と述べた。
ブラジル の死者数は平年より 38% 高く、平年より 19300 人が多く死亡した
ブラジルのデータはサンパウロ、リオデジャネイロ、マナウス、 レシフェ、サンルイス、フォルタレザのみのもの。予想される死者数は2019年同期のもの。
ブラジルのCOVID-19による総死者数は世界2番目。死者数は今も増え続けている。
極右のジャイル・ボルソナロ大統領は、感染拡大の重大性を過小評価し、防疫対策を軽視してきたと内外から批判されている。
最大都市サンパウロの市長は、新型ウイルス患者の急増で救急病床がひっぱくしており、市内の医療が近く崩壊しかねないと警告している
ベルギー の死者数は平年より 37% 高く、平年より 8100 人が多く死亡した
人口比の死者数で見た場合、ベルギーは世界でも特に被害が大きい。
ベルギー当局は、COVID-19死者の数え方が原因だという。
ベルギーは病院や介護施設でCOVID-19で亡くなった人数を数えた。COVID-19が確認された人数のほか、COVID-19が疑われる人数も含めている。
これはベルギーの死亡統計に反映されている。最初の数週間以降はCOVID-19の死者数が超過死亡の人数を超えた。
デンマーク の死者数は平年より 4% 高く、平年より 400 人が多く死亡した
デンマークは欧州でも特に早期にロックダウンを実施した。新型コロナウイルスによる死者がまだ出ていない3月11日に、行動制限を開始した。
アウトブレイク中の総死者数はほぼ平年どおり。超過死亡の死因としては、COVID-19が最も多い。
フランス の死者数は平年より 25% 高く、平年より 28400 人が多く死亡した
フランスはアウトブレイク当初、病院で死亡した人しかCOVID-19の死者数に含めていなかった。介護施設での死者数を加えるようになったのは4月初めから。
アウトブレイク開始以来、フランスの超過死亡のほとんどはCOVID-19による
フランスの感染ピークは4月5日で終わった週。平年より7000人以上が多く亡くなった。
フランスでは首都パリとその周辺が感染のホットスポットになった。
政府統計によると、新型コロナウイルスによる公式死者数の約3割が介護施設でのもの。
ドイツ の死者数は平年より 4% 高く、平年より 7100 人が多く死亡した
ドイツの超過死亡は、同じ欧州のフランス、イタリア、スペイン、イギリスに比べるとはるかに少ない。
ドイツで超過死亡が大きく増えた時期は、3月23日から5月3日の間だけだった。
平年より最も大勢が亡くなったのは4月12日に終わる週で、13%多かった。
その後は、COVID-19関連とされない超過死亡とCOVID-19による超過死亡はほぼ同数だった。
イタリア の死者数は平年より 40% 高く、平年より 42900 人が多く死亡した
イタリアのデータは人口の94%を表す代表標本。
イタリアは3月初めに欧州で一番早く、全国的なロックダウンを実施した。北部の感染者数が急増していたため。
感染流行は特に北部に集中し、超過死亡の大多数も北部で起きている。
最も被害の大きいロンバルディア州では、感染流行の最初の2カ月で予想死者数の2倍の人が亡くなった。
ピエモンテ州など他の北部地域の死者は平年より50%増。一方で中部や南部では平年より死者が減った地域もある。
首都ローマを含むラツィオ州では、過去5年間から死者数は5%以上減少した。
スペイン の死者数は平年より 50% 高く、平年より 42900 人が多く死亡した
スペインは感染被害が特にひどかった国のひとつで、欧州でもとりわけ厳しいロックダウンが続いた。子供たちは6週間、外出が禁じられた。
感染のピークは4月5日に終わった週で、超過死者数は1万1000人を超えた。
同じ週の公式発表では、COVID-19による死者数は6000人未満とされた。
最も超過死亡の多かったマドリード地方では、予想死者数の2.5倍強が犠牲になった。
ロシア・モスクワおよびサンクトペテルブルク の死者数は平年より 30% 高く、平年より 9100 人が多く死亡した
パンデミック期間中のロシアの全国的死亡データは得られないが、最大2都市のみのデータから、超過死亡が発生している傾向がうかがえる。
首都モスクワが報告した4月の死者数は過去5カ年の平均より17%多かった。
サンクトペテルブルクでは、感染流行はモスクワより遅れて始まった。4月の死者数は予想死者数とほぼ同じだった。
南アフリカ の死者数は平年より 9% 低く、平年の死者より 7400 人少なかった
南アフリカの死者統計は諸外国と少し様相が違っている。
死者数の合計は予想よりもかなり少ない。
シリル・ラマポーザ大統領が宣言した厳格な全国的ロックダウンが3月26日に始まって以降、週ごとの死者数は激減した。
市民が外出できなくなると、交通事故など一般的な事象による死者数も減った。
南アフリカの疫学専門家、デビー・ブラッドショー教授は、「アルコール販売が禁止されたことで、殺人件数は半数近くに減った」と言う。
「同時に、行動制限によって他の感染症も抑制できたようだ。冬季に多発するインフルエンザや重症肺炎の感染拡大も例年より少なかった」
規制緩和に伴い、週ごとの死者数は例年レベルに戻りつつある。